体重の減少による血清HDLコレステロール(HDL-C)値や
トリグリセリド(TG)値の改善は、
コーヒーを摂取していると、
より効果的である可能性が示された。東京大学循環器内科の
坂本愛子氏らが、7月19日から福岡で開催中の
第44回日本動脈硬化学会(JAS2012)で発表した。
コーヒーの摂取は脂質代謝に影響を及ぼすと言われている。
しかし、体重減少が脂質代謝パラメーターに及ぼす影響が、
コーヒー摂取によって変化するか否か
については明らかになっていないため、今回検討を行った。
検討では、2007年から2009年までの2年間連続で
人間ドックを受診した1268人(うち男性829人)を登録した。
コーヒーの摂取量は、1日0杯の人が23.0%、1~2杯が
60.1%、3~4杯が14.5%、5杯以上が2.4%だった。
初回受診時の対象者の背景をコーヒーの摂取量別に比較すると、
コーヒーを摂取している方が若かった。一方、
BMI、腹囲、ALT、脂質値などに有意差はなかった。
今回の検討では、
コーヒーを1日1杯以上飲む習慣があった77.0%を摂取群
、飲む習慣のない23.0%を非摂取群とした。
さらに摂取群と非摂取群のそれぞれで、
BMIの年間変化率を表す
「%dBMI(=[翌年受診時のBMI-初回受診時のBMI]÷初回受診時のBMI×100)」で、
-16.8%~-1.4%をQ1、-1.4%~0.4%
をQ2、0.4%~1.9%をQ3、1.9%~13.9%をQ4と、
対象を4分位に分けて比較検討した。
その結果、摂取群では、体重(BMI)の減少に伴い、
有意にHDL-C値が改善していた(Q1はQ2に対し
P<0.01、Q3、Q4に対しP<0.001)。一方、非摂取群では、
4群間にHDL-Cの増加量に有意な差はなかった。
横軸に%dBMI、縦軸に各脂質代謝
パラメーターの年間変化率(%dLDL-C、%dHDL-C、%dTG)をとり、
受診者のデータをプロットしたところ、%dLDL-Cと%dTGは摂取群、
非摂取群とも有意な相関が見られたが、
%dHDL-Cは摂取群のみ有意に相関していた。
また、線形回帰分析において、
%dHDL-Cと%dTGに対する%dBMIの回帰直線の傾きは
摂取群の方が非摂取群よりも有意に大きかった
(順に、P<0.001、P=0.029)。
坂本氏はこれらの結果を踏まえ、
「1年間の体重(BMI)低下に伴うHDL-C値とTG値の改善効果に対し、
コーヒーの摂取が良い影響を与えることが示唆された」と結論した。
2012-07-24 06:07
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