ページランク表示用ブログパーツ E-PageRank
SSブログ

印刷業にとどまらず、幅広く症例を分析する










校正印刷事業所で胆管癌が多発している問題について、
厚生労働省は7月25日、発症者は全国11事業所で計24人
に達したことを発表した。同省は近々、産業医学の専門家
によるチームを編成して原因究明に乗り出す考えだ。



これに先行して日本肝胆膵外科学会は臨床医の立場から、
胆管癌にとどまらず若年者の胆道癌(肝内・肝外胆管癌、
胆嚢癌、乳頭部癌)の実態を解明するため研究班を立ち上げた。
印刷事業所に関連した事例だけでなく、全国の主要病院から
胆道癌の症例を幅広く収集して分析する方針だ。





本研究を担当する大阪市立大病院教授(肝胆膵外科)の
久保正二氏に、今回の胆管癌多発問題のほか、




胆管癌は本来、60~70歳代での発症が大半で、
50歳未満では非常に少ない疾患だ。50歳未満の発症者
は全体の数%しかいないだろう。実際、今回の問題が発覚した
直後に大阪府内の5大学(阪大、大阪市立大、
大阪医大、関西医大、近畿大)に胆管癌症例の
大まかな聞き取り調査をしてみたが、50歳未満の発症者の割合
はどこも数%だった。これに対して、印刷事業所の発症者の
多くは20~40歳代に集中しており、極めて異例な事態といえる。





 胆管癌の主な発症原因は、胆石症や先天異常
である膵・胆管合流異常、寄生虫だが、今回の
ケースでは化学物質が有力視されている。動物実験
では化学物質の発癌性が確認されており、腎癌、膀胱癌、
肝癌、胆管癌といった排泄経路の癌の発生が多い
ことが分かっている。もし印刷事業所での胆管癌多発
の原因が化学物質であるならば、これと似たメカニズム
が考えられるのではないだろうか。




 ただ、動物実験で発癌性が確認されたからといって
ヒトにも当てはまるわけではない。問題となっている
化学物質「1,2-ジクロロプロパン」と「ジクロロメタン」
の人体への影響は分かっていない。胆管癌患者の
職場環境や職歴、カルテ、手術時の切除標本などを調べ、
状況証拠を積み上げていくしかないだろう。




 若年者の胆管癌の症例はもともと少なく、
発症率などが体系的に把握されていない。今回のような問題
が起きても、比較する一般的なデータがないのが現状だ。




 一方で、厚労省は全国561カ所の印刷事業所を緊急調査
したが、この対象に入っていない、数人で運営している
小規模の事業所はもっと多い。こうした事業所では産業医
がいないどころか、定期健診も実施していないケースが少なくない。
7月25日には、全国の約1万6000カ所の事業所調査を決めたが、
実態を把握すると同時に定期健診の実施の徹底などを進めてもらいたい。




化学物質に限定せず発症因子を探索
 厚労省は今後、印刷事業所での胆管癌多発の
原因究明を目的に専門チームを組織するが、
産業医学や疫学の観点からのアプローチになるだろう。
校正印刷事業所における発症者の把握や職場環境の調査
などが中心になるはずだ。





 こうした産業医学からのアプローチのほかに、
今回の事例以外の症例も調査対象にした臨床現場から
のアプローチも大切になると考えている。若年者の胆道癌の
原因として、今回のような化学物質に限らず生活環境の違い、
地域の環境特性など様々なことが影響している可能性がある。
こうした胆道癌の実態を把握すると同時に、発症因子を少し
でも明らかにできれば、今後の臨床現場に役立つはずだ。





 そこで日本肝胆膵外科学会では、印刷事業所の事例
だけでなく、全国の50歳未満の胆道癌症例を収集して
解析する研究班を設置した。既に全国の地域の基幹病院
や大学病院にアンケートを送付し、8月末までに胆道癌患者
の診療実績などを報告してもらうよう依頼した。亡くなっていたり、
職場を転々としている患者が少なくないほか、データ分析に
は患者やその家族からの承諾などが必要なので、
長いスパンの研究になると思うが、一定数の症例が
集まり次第、分析を進めて随時公表していく予定だ。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
Copyright © キトサンを活用して健康生活を維持 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます
Designed by KAETENテンプレート
外貨預金との違い
newsing it! ゼニカル